当社は明治9年に名古屋で生地問屋として創業しています。それ以来、30-40年ごとに中心商材を変えながら繊維業を続けてきました。

大きな規模ではありませんが、約150年という長い期間にわたり商売を続けてこられた要因は、信用という大きな財産に気づけたこと、そして変化に対応できたことです。

2015年に私が先人たちの事業を引き継いだ時、変化をしなければならないタイミングだと感じました。最初に変えたのは事業のポジショニングです。それまで何度か商材は変えつつも、問屋という中間業のポジションはほとんど変わっていませんでした。しかし、近年の変化の速さを考えるとこのままではいけないと感じ、実行に移していきます。

オンライン小売業の本格化、ものづくりへの理解（製織・縫製・染色）、サービス業としての意識改革を少しずつですが、同時並行で事業部に合わせて進めました。2018年からは自社ブランドのOSOCUを始め、makuakeプロジェクトや催事で徐々に世の中に出しています。

しかし、おおむね問屋業からの脱却が見えた2020年、コロナの影響で世界は再び大きく変わりました。

この中で私が一番感じたのは、会社という組織で考えるよりも、関係する工場や職人さんと一緒に作っていく必要性です。作る人がいなければ企画もアイデアも実現できません。受注発注・社内社外という感覚を捨て、一つの生産チームとして考えること。少なくとも自分たちはその感覚で取り組むべきだと考えました。

さらに、法制度や働き方の風潮が大きく変わる近年、従来とは違うものづくりをするチャンスではないかと捉えています。技術のある人と柔軟かつ対等に取引や契約をすることで、今までの「会社」という枠組みにとどまらない仕組みが生まれるのではないかと思います。

2022年からはOSOCU用に自社内に縫製工房を設けました。まだまだ規模は小さいですが、ものづくりと販売の両方のポジションを少しずつでも広げていきたいと考えています。ここだけでも雇用、業務委託、商取引と個々人のライフスタイルに合わせた働き方が実現しつつあります。さらに近年は地域の会社さんや異業種の会社さんとの協業も増えてきており、この部分も積極的にチャレンジしていきます。

スキルを活かした自由なものづくりがしたい方、自分の技術を活かしたアイデアを形にしたい方、業種や業界にこだわらず、お話ししましょう。どうぞお気軽にご連絡ください。


谷健株式会社
代表取締役　谷　佳津臣（かづお）