量産の値段は何枚から変わるのか?服にまつわる数字のこと③
服にまつわる数字のことの3回目
3)量産の値段は何枚から変わるのか?
を書きたいと思います。
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問合せを受ける中で最も多い質問であり、
それでいて最も工場側から回答を得にくい質問、
それが「いくらで縫えますか?」というもの。
サンプルだけならまだしも、問合せ段階でいきなり
パーカー30枚でいくらですか?
と聞かれてもなかなか答えにくいのが実情です。
スムーズに回答してくれるケースは1割にも
満たないんじゃないかと思います。
それは何故か。
*生地の種類
*縫製仕様の難易度
*納期までの期間
といった内容が決まっているかどうかが
分からないと答えようがないからです。
さらに細かい部分で言えば、
*型紙は紙なのかデータなのか
*副資材は投入するのかお任せなのか
*サンプルはあるのか?
で仕事としての所要時間は変わってきます。
毎年毎年一定量の仕事を出し続けていて、
何年も取引していれば細かな部分は省略
できるかもしれません。
しかし、そうでない大半の「服を作りたい人」
は細かいところまでクリアにしておくかどうか
は結構な差になります。
新規問い合わせの方の多くは、正直こうした
部分が出来ていません。
そういう細かな部分まで生産側で整理していく
のは割に合わないから、断るメーカーや工場も
多いんじゃないかなと思っています。
そして案外見落としがちですが、生産する側から
すると最もコストに関わると個人的に思うのが
次の3つです。
*コミュニケーション手段
*コミュニケーション頻度
*コミュニケーションレベル
一部の生産(プログラミングからのホールガーメントetc)
を除けば、服の生産は人と人のとのコミュニケーションを
介して行われます。
ですので、コミュニケーション効率がよく
スムーズに生産できる案件は多少他の条件が
厳しくてもやりたい人が多いと考えています。
それくらいコミュニケーション効率が悪いと
ストレスがたまり、良い生産ができないのです。
例えば、テキストベースの連絡を面倒くさがり
一方的(レベル)に電話(手段)をかけまくって
納期確認(頻度)をしてくる人は最悪です。
もう生産の邪魔をしているだけとすら思えます。
あくまで私個人の経験に基づく、個人的な意見
ですが・・・。
ここまで極端ではないにしても、メールの文面が
言葉不足・こちらからの確認のレスポンスが遅い、
といった部分でもコミュニケーションは阻害されます。
修正や商談が多い案件も見積もりを高くしないと工場側は
やっていられないんじゃないかなと思います。要するに人
の時間は無償じゃないという意識が必要ということですね。
もちろん生産側にも言えることですが、一般的に発注側が
強い構造になりがちなので発注側がより注意した方が良い点です。
量産部分にはこうした数字にはできない前提部分で
相当に変わってくるので、きれいな答えは出せません。
ケースバイケースです。
とはいえ、数字にまつわるテーマですので、
最後に私自身が今のところ基準にしている
量産ロットの区切りについてご紹介します。
それは
*生産の最低ロット30枚
*価格交渉に応じてもいいロット(1SKUで20-30枚)
という数字です。
発注金額で言えば、10万くらいの案件になって
初めて聞いてくれる可能性が出てくる印象です。
そういう意味では1万円を10枚、でもいいかなと
は思いますが、高単価の商品は人のお任せで作る
ものでは無いと思うので、やはり30枚が目安ですかね。
あとは少なくても毎月仕事を出していくのは
規模に関わらず、良いと思います。
あくまで私自身が実地で経験していることで
国内での小規模生産(300枚以下)のスポット
での話です。
海外生産ロットや大規模生産には当てはまらない
と思います。そして、このやり方で達成できると
しても3億くらいまでかと。(小規模アパレルでの話なので)
ご参考までに。